RSS

タグ : 契約金 2件あります

学生時代にアマチュアナンバーワン投手だった山田秋親の契約金問題

2000年当時、立命館大学の山田秋親は最速153kmのストレートを誇る、アマチュア球界ナンバーワンの投手として注目を集めていた。

中日・阪神・オリックスとの争奪戦の末、ダイエーを逆指名し入団したのだが、父親が週刊文春の取材に対して契約金が6.5億であったと話し、その額が球界で申し合わせていた新人の契約時における最高標準額「契約金1億円+出来高5000万円」をはるかに上回るものだったため、コミッショナーを巻き込む大騒動となったのだ。

週刊文春2000年11月23日号の記事によると、以下のやりとりがあったという。

— ad —

記者「契約金は6億5千万ですか?」
父親「そう聞いてます」
記者「支払いは分割ですか?」
父親「そういう話も出ました」

後々、阿部慎之助の契約金が10億円だったことが明るみに出たように、少なくとも当時は、裕福な球団はそのぐらいのお金を投資して逸材を手に入れようとしていたのだ。

 
それにしても、当時の山田と各球団(主にダイエーだと思うが)との駆け引きが面白い。
中日ファンの方のサイトから関連する部分を抜粋させていただく。

2000/10/24(火)
ダイエーと中日の間で争奪戦が展開されている立命大・山田秋親投手(22)だが、この日で公式戦の全日程が終了、そのまま逆指名会見が行われると思われたが、プロ入りを表明するのみに留まり希望球団については明言を避けた。ダイエー入りが有力視される山田君だが、結論は日本シリーズ終了後まで持ち越し、いまだ心が揺らいでる様子。

2000/10/26(木)
山田君の「他球団の評価を聞きたい」という裏金つり上げ作戦にまんまとはまった中日は、佐藤球団社長らが山田君と直接交渉、「機会があれば星野監督に会って欲しい」と説得した。 星野監督について山田君は 「監督には任期があるから」と、あまり監督に気にいられ過ぎると万が一高木守道や谷沢健一が監督になった場合、即座にロッテに売り飛ばされることを把握してる様子。

2000/10/27(金)
26日の佐藤球団社長に続き、この日は星野監督が山田君と交渉、「このオレが惚れこんだんだから。日本一のピッチャーにしてやる。オレが日本を代表するピッチャーに育てる!」と熱心な説得を行なった。ドラフト選手に対し監督が自ら赴くのは異例中の異例で、山田君に対する評価・期待がいかに高いかが伺える中日だが、と同時に監督が動かなければどうしようもないほど逆指名は絶望的であるという状況は、「背番号20をやってもいい」という現実的でない大風呂敷によくあらわれている。

2000/10/28(土)
山田君の逆指名会見が11月2日に行われることが決まった。山田君は希望球団について、「強くて打撃で援護してくるチームがいい」と語った。

2000/10/29(日)
山田君のダイエー逆指名が決定した。 山田君は「ダイエーか阪神かで迷ったが、ダイエーに行かないと後悔すると思い決心した」と、何と最終候補に残っていたのは阪神だったという衝撃事実を激白。「打線が援護」云々は中日を断るための方便だった事が明らかになった。「親としては中日を薦めた」(父・卓郎さん)と最後まで交渉した中日スカウトの顔を立ててはいたものの、「親会社の経営不振が心配」とカネの話を持ち出して他3球団と接触、結果、山田君の手のひらの中で転がった4球団の争いはダイエーに軍配が上がった。 逆指名会見は11月2日に行われる。

2000/10/31(火)
前日に「立命大・山田、ダイエー入りへ」と報道した舌の根も乾かぬうちに、中日スポーツが「竜、再びチャンス!立命大・山田秋親、ダイエー逆指名棚上げ!」などと言い出した。記事によると、「山田サイドがOB会側と協議する前の29日に、ダイエー入り決意を 一部の報道メディアに漏らした。これがOB会側の反発を買ったようだ」というものだが、一部メディアも何も、お前んとこの新聞やないか と中スポ読者からは総ツッコミ。正式会見があったわけでもないのに「山田、ダイエー入り決定」と30日付けの中スポで報道したその思惑は、OB会をつっつき絡め手で山田君に追い込みをかけるためだったのかどうかは不明。

— ad —

2000/10/31(火)
学生とは思えない超大物ぶりを見せていた山田君が、当初の予定通り逆指名先をダイエーに決定、忙しい中はるばる九州まで来てくれた3球団に電話で断りを入れた。

2000/11/16(火)
ダイエーを逆指名した立命大・山田秋親投手に対し、ダイエー側が提示した契約金が6億5千万円であった事を「週刊文春」が報じた。これに対し、交渉の場に直接出向いた挙句フラれた中日・星野監督は怒り心頭、「事実とすれば大変なこと。ファンも“プロ野球ってこういうものなのか”という目で見る。コミッショナーもしっかり調査せないかんよ」と、福留・川上を獲ったときの証拠隠滅は済んでるとでも言わんばかりの大胆発言で「裏金疑惑」に不快感をあらわにした。なお、この件に関してコミッショナーは「事実関係がはっきりしないし、そもそも(契約金の上限)1億というのはあくまで申し合わせ事項、野球協約に定められてるわけではない」と述べるにとどまった。

この中日ファンの方のサイトは面白い。
ダイエーが日本シリーズで2勝した後に4連敗したのや、吉永を手放したのもこのためではないかということだった。

~~~~~~~~~~~

そして、時は経ち、NEWSポストセブンの『元SB・山田が6.5億契約金振り返り「そっとして欲しかった」』で、山田自体が騒動を振り返っている。

金額はそこまでじゃなかったですけど……。僕や慎之助は、当時の大学球界では頭一つ抜けた存在だった。だからもらって当然のような意識があった。勝手な言い分かもしれませんが、自分の中ではそっとしておいて欲しかったし、素直に野球だけを見て欲しかった

「もらって当然」。。。
なぜ自分ばかりが責められるのかという苦しみはあったのだろうが、言葉は選んだほうがいい。
活字になるとお世辞にも印象が良いとはいえない。
それも何も、その後活躍していないという事実が重くのしかかる。

巨人が阿部、高橋由、二岡、上原、内海、野間口の6選手へ多額の契約金を払っていた問題

2012年3月15日付けの朝日新聞が「巨人、6選手に契約金36億円。球界申し合わせ超過」と報じた。

年と金額の具体的な数字は、以下の通り。

97年 高橋由伸 6億5000万円
98年 上原浩治 5億円+退団時の功労金1億2000万円
98年 二岡智広 5億円+退団時の功労金7000万円+出来高3000万円
00年 阿部慎之助 10億円
03年 内海哲也 2億5000万円
04年 野間口貴彦 7億円

— ad —

6選手の契約では、1億5千万円を超過する金額について、複数年にまたがって分割払いするとし、各年の出来高条件の一部をクリアした場合に支払われるとされていた。複数の巨人軍関係者によると、巨人軍にとってこの出来高払いは税務上、契約金の分割払いとみなされ、通常の出来高払いとは違う会計処理をしていた。各選手も税務申告する際、契約金の一部であることを明らかにしていた。国税当局も税務調査などでこうした内容を把握しているという。

税務上はずるはしてないよって話。

最高標準額を超過した契約金をめぐっては、横浜が、2004年に自由獲得枠で入団した那須野巧選手に5億3千万円の契約金を支払っていたことが2007年に発覚。

「契約金の上限を1億円と出来高払い5千万円で合意し、破った場合は制裁を加える」ことを決めたのは2007年10月。すなわち、いずれもその前の話だから問題ないというのが読売側の主張である。

なお、NEWSポストセブンが、この契約金等が妥当だったのかの一つの指標としてヒット1本あたり、ホームラン1本あたり、1打点あたりの金額を裏金をもらっていない選手と比較していたので紹介したい。

■二岡智宏(1999年ドラフト2位、実働10年)
年棒+契約金=16億9100万円
安打:151万円(数字は1本あたりの金額。以下同様)
本塁打:1077万円
打点:328万円

■坂本勇人(2007年ドラフト1位、実働5年)
年棒+契約金=3億2900万円
安打:52万円
本塁打:451万円
打点:131万円

■高橋由伸(1998年ドラフト1位、実働14年)
年俸+契約金=40億5300万円
安打:262万円
本塁打:1388万円
打点:479万円

■松本哲也(2007年育成3位、実働5年)
年俸+契約金=8610万円
安打:43万円
本塁打: ―
打点:233万円

さすがに、育成出身の松本と比較するのはどうかと思うが…

 

■阿部慎之介(2001年ドラフト1位、実働11年)
年俸+契約金=28億1350万円
安打:215万円
本塁打:1069万円
打点:365万円

■鶴岡一成(2008年トレード、実働4年)
年俸=1億3500万円
安打:169万円
本塁打:1929万円
打点:500万円

キャッチャーはインサイドワークや守備力も含めて判断されるべきではあるが……、少なくとも阿部は10億でも高すぎることはなかったと言えるのではないだろうか。

 
<<2016.6.9 追記>>
上の問題に関連して、巨人軍は朝日新聞を提訴していた。

争いのポイントは大きく二つあり、一つは「巨人軍の契約が球界を統括する日本野球機構(NPB)から、厳重注意処分を受けるような行為だった」という朝日の報道内容が正しいのかどうか。誤っているとしたら、名誉棄損にあたる。

もう一つは、一定の成績を達成した場合に支払われる出来高払いの報酬(報酬加算金)が「契約金」に含まれるか否か。

2016年6月8日、東京高裁の判決では、「巨人軍がNPBから厳重注意処分を受けるような行為だったという点」については真実ではなく、NPB関係者に取材をせずに誤解したまま記事を書いているとして、名誉毀損の成立を認めた。

また、報酬加算金は、球界が2001年に導入したインセンティブ(出来高払い)を制度化したもので契約金とは性質が異なるとしたうえで、巨人軍の内部資料に両者を区別せずに記載する慣行があったことなどから、朝日の報道が「誤りとまではいえない」とした。

朝日新聞は上告するらしい。今後の動向を見守りたい。

 
<<2016.11.28 追記>>
11月24日付の決定にて、最高裁は巨人軍、朝日側双方の上告を退け、朝日新聞社に330万円の支払いを命じた2審判決が確定した。
巨人軍がしていたことは世間からすると褒められる事ではないだろうが、この判決は妥当だろう。