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権藤博と森繁和が語る投手論

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ちょっと昔(2013年)の記事だが、Number Webに掲載されていた『<プロフェッショナル対談> 権藤博×森繁和 「修羅場を制する投手論」』より。

まずは権藤さんによる仰木さん評。

仰木さんはあれこれやりたがるんだよね。セカンドやショート出身の監督は、すぐにチョロチョロ動きたがる

ここでいう、「セカンドやショート出身の監督」には高木守道も含まれる。

2012年のCSで高木守道監督がピッチャーをどんどん変えた時の、ブルペン担当コーチの野茂と権藤さんの会話。

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「おい、(ベンチ入りの)13人じゃ足りんぞ。15人くらい入れんと」と言ったんだ。そしたらあいつは「そんなに入れるから代えられるんですよ。10人にしたらいいですよ」だって。メジャーは投手10人でやってるからね。「監督に電話して、直に言ってやれ」って、大笑いしたんだけど

なお、高木守道監督については、日経のコラム(2011/11/27)ではこのように評していた。

困ったことが一つ。私も高木監督と同じ感性派だということだ。私の経験上、感性派同士はぶつかる。監督がビビッとひらめいて「代えようか」などといってきたときに、こっちまでビビッとひらめいたままにズバッと言ってしまうと、あまり好ましくない事態になるのである。

高木守道のひらめきが、権藤&野茂の両コーチを悩まさせる結果となったということだろうか。

ちなみに、やや話はそれるが、監督としてではなく選手時代の高木守道についてはこう評している。

日本を代表する二塁手だった。その守りで特筆すべきはバックトス。その速さ、正確さにおいてかなう人がいただろうか。私は投手として何度併殺をとって助けられたかわからない。のちに私が野手に転向し、二遊間で組んだことがあった。キャッチボールをしただけで“違い”がわかった。体の正面だけでなく、足元、横っちょ、頭上、どこにそれても「パシッ」という小気味いい捕球音が鳴る。どんな体勢でも芯でつかむ。見事というほかなかった。肩は決して強くなかったけれども、捕球とモーションの速さで補っていた。そのプレースタイルは一瞬のひらめきと感覚の鋭さをベースにしていて、一言でいうと天才的。感性の男というべき人物だ。

決して、不仲な二人ではないという話。

 
権藤も森も、日本シリーズの第1戦はエースに投げさせるという。
権藤氏曰く、

日本シリーズに出るのはご褒美じゃないですか。1年間戦ってきた人への。前年度に一番いい成績を残したやつを開幕投手にするのと同じで、一番大事な第1戦はエースに任せるのが当たり前だと思う。

98年の日本シリーズについて。

98年の横浜のときは、そういう絶対的なエースがいなかった。だから、戦う前から、野村(弘樹)、斎藤(隆)、三浦(大輔)の3人をこの順番で回すと決めてたんですよ。この3人で、中3日で勝負をかける。これしかなかった。7戦まで行ったら、野村が回ってくるという。

そして、3勝2敗で王手をかけて、本来なら三浦が投げるところだが…

使ったのが川村(丈夫)です。川村は開幕からずーっと勝ってたけど、後半戦まったく勝てなかった。だけど、三浦もよくなかったし、日本シリーズに出られたのはこの川村のおかげだから、1回ご褒美に放らせてやろうと。そしたら勝って日本一になっちゃった

勝負師というより、人間的な権藤さんらしいエピソード。
偶然ながら先月の投稿でも権藤さんが川村について語っていた。何か二人には縁でもあるのだろうか。

 
最後に、落合監督について。

(権藤) 評論家やってるときに見てて、あんたがいい味出してるなと思って落合に聞いたら、「いやあ、僕は投手のことはわからないから、全部任せてます」と言ってました。俺は、やっぱり落合はすごいと思う。もしかすると「投手のことはわからん」と言いながら、少しは言ってるかと憶測してたんだけど。
 
(森)  監督が先発を決めたのは、川崎憲次郎のシーズン開幕投手(’04年)の時だけです。それ以外は、試合当日、先発投手をメンバー表に書き入れる時に、「えっ、そうだっけ?」「これでいくの?」とかそんな感じでした。
 
リリーフが失敗した時なんかに、監督室に行って「すいません。ちょっと交代、遅れましたかね」と聞くと、「俺が全部責任取るから、そんなもん気にせんでええ」と。「選手にも言っとけ。今日はたまたま打たれたけど、また同じように使うから。でも、3度までだぞ」って。

まったく口を出さないというのは驚き。
そして、自分で決めたのが、当時大きな話題になった川崎だけというのも渋い。

なお、この”3度までルール”は権藤さんも使っていたという。

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