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落合博満のソープ伝説の真相やいかに

落合がソープ好きだったのは有名な話。

コラムニスト/プロインタビュアーの吉田豪氏との対談(2002年3月)で愛甲猛も以下のように語っている。

堀ノ内が近いんで試合終わったら必ず行ってたんですよ。いつも行くお寿司屋さんがあって、そこでご飯食べてたらソープの送迎車が来るわけですよ。それに乗って店の裏口から入って行くんですけど。オチさんが言うには「銀座行ってオネエちゃん口説くんだったら何十万も何百万も払わなきゃいけない。だったらソープ行って4~5万払えば、裸のネエちゃんを前にしてタダで酒飲めんだぞ。こんなイイことねえだろ!」って。

わかる気もするが、要は駆け引きがあまり好きじゃないということなのだろうか。
いずれにしても、試合終わったら”必ず”行っていたというのが凄い。
仮に本拠地の全試合後に行っていたとして、最大65試合×5万円として325万円也。
このぐらいの金額ははした金だろう。
それ以上に体力と精力が続くのが羨ましい限り。

同じく、愛甲の著作『球界の野良犬』から。

家に帰ってカミさんとテレビ見てたんだよ。そしたら「トゥナイト」が始まってな、山本晋也監督がソープ取材してたんだよ。画面に映った子、見たことあるな、なんて思ったら、「落合さーん、また来てね」なんて手を振りやがった。続けて山本監督が「さすが落合さん、夜も三冠王ですな」だってさ。チャンネル回し損ねたよ。

本にまで記録されてしまう大物っぷり。

また、2ch等で広まっている都市伝説が以下。

かつて、名前は出せないが堀之内のソープを全軒制覇するほどソープ好きだったロッテの選手がいた。その選手は新婚だったにも関わらずソープ通いを辞めず、業を煮やした新妻はある日、家に帰ってきたその選手に向かい「大事な話があるので、服を脱いで風呂場に来てほしい」と言った。件の選手が裸になって風呂場に向かうと、そこにはスケベ椅子とマット、それに泡姫ルックの新妻が。
この新妻、亭主のソープ通いを辞めさせるには「家でサービスするしかない」と自らソープに赴き道具と技術を修得してきたというのだ。これに懲りた件の選手、ソープ通いはピタリと止まり、翌年には長男の福嗣くんも誕生した。

ちょっと盛っている気はするな~と思っていたら、なんと落合信子氏の著作『悪妻だから夫はのびる』にまさにそれに関する記述があった。。

まず、落合がソープランドに行っていることを引き合いに出して、私が浮気したらどうする?と聞いたところ、「ソープランドが浮気かよ。性処理ならいいじゃねえか」と落合が答えた。
それを受けて信子夫人は、落合がそこまで開き直って言うからには、ソープランドというのは、さぞやおもしろいところだろうと思い、それをわが家でやってみようと思い立ったと。

そして、落合が買ってきた男性週刊誌や落合の話を元にソープ嬢の技術を習得。そのうえで、「ソープランドごっこしてあげるからお客さんになりなさい」と言ったそう。これを機に、落合のソープランド通いはピッタリおさまったという。

どうやら、都市伝説と現実に大差はなさそう。
これを機に、落合のソープランド通いがおさまったというのはどうも解せないが、我々の想像の上を行く夫婦だから、さもありなん。

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蛇足だが、吉田豪氏の愛甲へのインタビューの中でもう一つ面白かったのが村田兆治についてのエピソード。
村田はピッチャーとして大問題だが、目が悪くてキャッチャーのサインが見えなかったという。

でも兆治さんの時って、キャッチャーはノーサインで捕ってたんですよ。それで一度、兆治さんがすごくデカいホームランを打たれたときに、キャッチャーの袴田(英利)さんを呼び付けて『なんでお前、あそこで真っ直ぐのサイン出したんだ!』って、グローブをブン投げて怒ったんですよ。そしたら袴田さんが『ノーサインだろ、バカヤロー』って、レガース外しながらボヤいてて。

なお、ピッチャーはそれぐらい自分中心で構わないのが、愛甲の持論のようだ。

里崎智也のキャッチャー論

引退が惜しまれる千葉ロッテの里崎智也選手。

THE PAGE に興味深いインタビュー記事(『引退・ロッテ里崎が野村克也氏、古田敦也氏より優れていた知られざる記録』)が掲載されていたので紹介。

THE PAGE の記事タイトルにもある里崎が持つ記録とは、1000試合以上出場している捕手の中で、捕逸、すなわちパスボールの通算記録が最も少ないというもの。

野村が2921試合で207個(14.1試合に1個の割合)、古田が1959試合で104個(18.8試合に1個)であったのに対し、里崎は、1003試合の守備出場で19個(52.7試合に1個)でナンバーワンの記録だとのこと。
ちなみにナンバーツーの記録保持者は森祇晶氏で1833試合で42個(43.6試合に1個)。
ただそもそも、割合ではなく、通算の数を比べるのはフェアじゃないだろう。
もちろん率でみても里崎がパスボールが少ないことは上の3名と比べればよくわかるが。

 
里崎曰く、

パスボールはノーバウンドのボールをミスしたときに記録されるもので、ワンバウンドを逸らしたボールは、ほとんどの場合、ピッチャーのワイルドピッチと記録されるんです。自分でサインを出しているんだから捕球するのは当たり前

ノーバウンドのボールとはいえ、フォークやスライダーなどの鋭い縦変化の変化球が多いピッチャーの場合、パスボールかワイルドピッチかの判断が難しい厳しいボールは多くなるだろうから、キャッチャーの補球能力に加え主力ピッチャーがどういうタイプかにも大きく影響されそうではある。

里崎が正捕手を務め千葉ロッテが優勝した95年や、翌96年には高速フォークを操る伊良部もバリバリ活躍していたから、この数字はたいしたものではないのだろうか。

里崎が言うに最初からパスボールが少なかったわけではないと。

ワンバウンドを処理するには何が大事で、どうすればいいかを教えてもらったことがなかったので、理論がなかったんです。単に勘だけでやっていたんです。ということは、止められるか、止められないかは運任せだったんですよ。理論がわかっていると失敗した後に何が悪かったかがわかってくる。それを教えてくれたのが、当時のコーチの山中潔さん。

この、山中コーチからの指導については、スポーツライターの赤坂英一氏の著作『キャッチャーという人生』の中でも触れられていた。

 

山中さんは、近くから、ボールをアホみたいに何箱も投げ続けて、後ろに逸らさないというような形を作る練習はやりませんでした。ブロッキングの形を作る基本的な練習はしますが、とにかくブルペンに入って、生きたピッチャーの球を実戦で受けろ!と。1球、1球集中して、どんな球が来ても絶対に止めろ!と。当時、二軍にはブルペンキャッチャーがいなかったので、バッティング以外の時間は、ブルペンで受けていました。だから必死でした。練習のための練習になると、その部分が欠けるでしょう。そこでミスをしたら形をチェックするんです。今はファームにもブルペンキャッチャーがいて、“キャッチャーが生きたボールを受けない”という環境になっていて、そこは僕からすればもったいないですね

「練習のための練習になると、その部分が欠ける」というのはごもっとも。
キャッチング練習のための練習だと時間は短くて済むが、実践的な技量は上がりにくそう。

パスボールを減らすコツを聞かれ

僕は、捕れるものは捕ったほうがいいという考え。ワンバウンドは必ず体のどこかに当てて止めろと教える人もいますが、体のどこかに当てると、どこかへ飛んでいく確率が高まります。ミットは、もちろん股の下。胸から上のワンバウンドは体で止めるしかないんですが、ベルトから下の低いものは『捕っちゃえ』と。そうするとボールを弾きません

と答えている。
しかし、そもそも捕れるなら問題にならないのではなかろうか。
自分がキャッチャーではないからか、ピンと来なかった。

 
話はリード面に及ぶ。
WBCの時に、宮本慎也氏に『お前のリードは怖い』と言われるほど、強気だったという。

僕はデータよりも自分の直感を信じる、行けると思えば行く! そういうリードでした。引いて後悔はしたくはありません。もちろん、データ、資料は見ます。家の建築でいえば、いわば基礎工事です。そこに経験と知識と感性で、どれだけ上を積み重ねることができるか。データだけでリードすれば、崩れたときに対応ができなくなります。後は駆け引きです。

1軍のスタメンに名を連ねるプロは短所と言っても意識すれば打てるんです。でも意識をしないと打てないから、そこを意識すぎると反応で打てるはずの長所も消えてしまうんです。それが駆け引き。では、どのタイミングで、どこをどう攻めるか。そこが感性と経験なんです

この記事を読んでいても、里崎が乗ってきたのが伝わってくる。

 

リードには3パターンあると考えていました。(上)(中)(下)の3パターンです。
 
(下)は、相手や状況に関係なく、ピッチャーだけを中心にリードするパターン。ピッチャーの得意球、その日のいい球を引き出していくリードです。ピッチャーに制球力や信用のおけるボールがなく、そこにしか投げられないというレベルのピッチャーの場合のリードです。これをクリアできるレベルのピッチャーになってくると、次の(中)のリードになります。バッターの長所、短所を踏まえた駆け引きのできるリードになってきます。それもクリアできれば、次に(上)です。それは、短所、長所を考えた配球にプラスして状況に応じた結果を求めるリードです。ここは三振をとりたい、ここは絶対にゴロ、ここはフライという計算を立てたリードですね。ただピッチャーの力量が(下)であっても、できないのがわかっていて(中)のリードで勝負する場合はあります。信じてレベルをあえて上げる場合もあります

 
続いて、打席内の打者の観察について。

何百回と同じ打者と対戦するわけですよね。すると、いつも決まった場所にいるのがわかってきます。でも、時折、そのシャドーからはみだすケースがあるんです。おい左肩が出ているぞ、どういうことや、足の踏み出す位置が違う? どういうことや?と。それを解釈しながら狙いや理由を読むんです。

そうやってシャドーを見ていくと、面白い選手、何を考えているかわからんわあという打者とも巡り合います。西武から中日でプレーしている和田さん、日本ハム、巨人、今は、中日にいるガッツさん(小笠原)、稲葉さん、内川、糸井、西武からメジャーに行ったナカジ(中島)も面白かった。和田さんには、徹底して外中心のリードをしていて、たまたま1球だけいったインコースを打たれたことがあります。内川なんて、そこまで崩れながら、なんで打てるの? 意識どこにあんねん?と思う打席もありました。

結局、安定して数字を残しているバッターには苦労するってことのようにも思える。
つまり、どのチームも基本的には似たようなことを日夜研究しているのだろう。

こちらの赤坂氏と糸井さんの対談の記事でも書いたが、糸井さんが言っている「キャッチャーというのは、「ことばの人生」なのかもしれないですね」というのは、この里崎のインタビュー記事を読んでもあらためて実感した。

キャッチャーは面白い。

権藤流投手交代のタイミング

日経朝刊連載の権藤さんのコラムより。

今回は投手交代のタイミングについて。

投手の心はガラス細工のように繊細だ。先発でも救援でも、打たれたまま降板するとあとに響く。「アウトを取るまで」と言っているうちに失点することもあるが、そういう試合はどうせ負けいくさだ。曲りなりにも打者をうち取って降りれば、打たれた傷口も生傷でなく、かさぶたになる。ここが肝心だ。
 
小さな”勝利”でいいから、一日の終わりだけは気持ちよく。長年の指導者生活で私はそこに心を砕いてきた。

アマチュアの監督・コーチがこのような思考をするのはともかく、プロの監督がこう考えるというのは驚きだった。
小宮山に「権藤さんはピッチャーに恥をかかせないんですね」と言われたことからしても、珍しいタイプの監督なのだろう。

特に、これから将来が嘱望される若手投手の場合はより慎重に考えていたようだ。

プロ初先発の投手が、五回まで抑えて勝ち投手の権利を得たら、すぱっと代える。

ベンチが欲を出して続投させ、その後で打たれてイニング途中で交代することになると、成功体験にならないと権藤氏は言う。

続投させたいのを我慢し、無傷で降ろすのが正解。

 
そして、現在の監督で権藤氏が評価しているのが秋山監督。

彼は投手起用に未練も欲も持たない。切りの良さだけを考えている。

そんな視点で見たことがなかったが、きりの良さ”だけ”を考えていると言いきれてしまうのが面白い。

 
確か権藤さんは、監督ではなくコーチとしてチームに入っている時に、投手の起用方法で監督と揉めていた記憶がある。

代え時がいつがベストかという問題は、ケースバイケースだろうし、心理的な問題もあるから一筋縄ではいかないのだろうが、今回のコラムで権藤さんのこだわりの強さの一片が伺うことができたのは興味深い。

下柳剛が語る伊良部秀輝

スポニチアネックスの連載で、弟のように可愛がっていた伊良部について書いている。(『酒の席でいきなりシャドーピッチング 野球の虫だったラブちゃん』)

あの伊良部を「ラブちゃん」と呼ぶほどの間柄。

東京から新幹線に乗って大阪へ向かっとった。目的はマンション探し。新幹線で一息ついとったら、なんか人影を感じた。
「先輩、お久しぶりです。今年から先輩と同じ阪神でプレーさせてもらうことになりました。どうか、よろしくお願いいたします!」

伊良部は下柳のことを「先輩」と呼んでいた。
もっとふてぶてしいイメージだが、実際は礼儀正しい。

2人とも野球のことをしゃべり出したら、もう止まらない。新地のクラブで飲んでたときも、野球モードになったら周りに女の子がいようが関係ない。おもむろに席から立ち上がったかと思うと、いきなりシャドーピッチングや! そら、オレ以外の全員があっけにとられとったわな。
それぐらい、アイツは投球フォームにはとことんこだわっとった。

あの巨体がクラブで立ち上がっていきなりシャドーピッチングし出したら、ボディガードを呼ばれかねないだろう。

すでに現役引退しとった2008年か。六本木の鉄板焼きで飯を食っていたら、またまた突然、ラブちゃんが立ち上がった。ちょうど、壁が鏡張りになっているお店やったんやけど、それに気付いたんやろうな。鏡をチラチラ見ながら、あいつが「先輩、フォームを見てください」と言ってきた。そのときの表情も、本当に真剣でね。
オレも自分が思うところを、しっかりと伝えた。
「ヒールアップをやめてみたらどうや。それではどうしても、膝に負担がかかってしまうやろ」
 ラブちゃんは投球時、軸足である右足の踵を上げていたからね。試しに踵を上げずにシャドーピッチングをしてみたら、痛みがないという。

一流の選手たちは、みな愛すべき野球バカなんだなということを再認識させられるエピソード。

赤星憲広が明かす難解な岡田監督の会話

デイリースポーツオンラインの『 元阪神・赤星氏 岡田語に冷や汗だった 』より。

8/26放送予定の関西ローカルのTV番組「痛快!明石家電視台」の収録時に出たエピソード。

当時の岡田彰布監督の主語や説明を省きまくる、独特のオカダ節について「『そういうことよ』や『そらそうよ』が口ぐせで、何を言っているのか分からないこともありまして」と、実は虎ナインも首をかしげることが多かったことを告白。

『そういうことよ』『そらそうよ』が口癖ってオモロイ。
でもそう言ってる岡田監督の姿が容易に目に浮かぶ。

当然ながらディスるだけならTVで言うはずはなくエピソードは続く。

選手会長として岡田氏と多く会話するうちに理解が深まり、「監督はものすごいことを考えている。選手が皆、それを理解できれば勝てる」と、以降はオカダ語の“通訳”として、若手選手らに説明していたことを明かした。

ふむふむ。そうだよね。
岡田氏って選手時代もクールな頭脳派な印象はなくて、監督としても最初は似たような印象だったけど、退任する頃にはしっかり監督やってるな~という印象に変わっていた。

そんな赤星氏でも、あるデーゲームの試合前に岡田氏から「赤星、お前、きょうアレな」と告げられた際には意味が分からず聞き返し、怒られそうになったという。
 
コーチに尋ねたところ、赤星氏の疲労が蓄積していることを考慮した岡田氏が“きょうは試合後半から出場な”との意味だったことが分かった。

聞き返しにくい雰囲気があるんじゃなくて、怒られそうになるんかいっ!笑
こりゃ選手も大変。

記録を見てみると、2004年から2008年までの5年にわたって指揮を執り、順位は4-1-2-3-2。
2005年の日本シリーズでは勢いに乗るロッテに4タテされてしまった印象が強いけれど、5年間の成績を通して見ると悪くない監督だったのではないだろうか。

権藤博が語る岩瀬仁紀の凄さ

毎週楽しみになっている、日経の権藤氏のコラム。
今日は、先日前人未到の400Sを達成した、中日の守護神、岩瀬仁紀投手について。

そもそも「リリーフ」というポジションについて権藤氏はこう評する。

下手をうったら先発の勝ち星などすべてが吹き飛ぶ。このポジションについた投手はまず笑顔を失う。抑えてベンチに帰ってきたときでも、こわばった顔にひきつった笑いが浮かぶだけ。投げているときの重圧がそれほど大きいのだ。

比較的笑顔が印象に残るあの大魔神佐々木でさえ、「破顔一笑」を見たのはリーグ優勝を決めた時だけだったと。

そして、岩瀬について。

最後に1点勝っていることが目的と腹を決めている岩瀬は慌てて勝負をかけるようなまねはしない。
抑える確率の高い打者を見極め、危ないと思ったら、簡単に勝負に行かず、これなら大丈夫というところまで我慢する。必要ならボール球も費やし、1イニングに手間暇をかけて抑える。やるかやられるか、という土壇場の緊張感に脂汗を浮かべながら、ここまで粘れる投手はいない。
 
並みの投手は重圧から一刻も早く逃げたくなって「エイヤッ」と、イチかバチかの勝負に出て墓穴を掘る。
岩瀬は違う。窮鼠になっても、猫とのにらみ合いに耐え、必ず勝機を見つける。

岩瀬の特質がよくわかる内容での大絶賛。

岩瀬も年齢との戦いは避けられない。しかし、その衰え方はゆっくりとしている。佐々木は三振がとれなくなったら打たれ出したが、岩瀬はもともと走者を出しながらでも抑えるタイプだ。

今年の11月で40歳を迎える岩瀬。
しかし、まだまだやってくれることをプロ野球ファンは望んでいる。

巨人鈴木の走塁、阪神上本・梅野の守備プレーについての掛布さん評

おなじみ、THE PAGEの掛布さんの連載より。「掛布が語る 阪神と巨人 潜在的な力の差

7/23の巨人阪神戦でのプレーについて。
9回に代走で登場した巨人の鈴木尚広。能見―梅野バッテリー相手にカウント1−1から盗塁を仕掛ける。

能見の投球はワンバンとなったが、梅野がうまく処理して素早くスローイング。カバーに入った上本のグラブへストライクの送球。タイミングは完全にアウトだった。

上本は、鈴木をやや待つ形にまでなった。しかし、鈴木のスライディングテクニックが一枚上手だった。鈴木は、キャッチャーから見てセカンドベースの一番遠い右端を狙って滑ってきた。“世界の福本豊さん”から「セカンドベースの一番遠くを狙うんや」という盗塁の滑り方のコツを聞いたことがあったが、“35歳の走り屋”は、この大事な局面で、そういう高度なテクニックを使ってきた。滑る場所が遠いので、上本は、必然、追うようなタッチとなり、足が先にベースに触れたとセーフの判定。

すなわち、鈴木の経験・技術が上本のそれを上回ったと。

鈴木も試合後のインタビューにこう答えている。
「ピッチャーとのタイミングをずっとすりあわせていた。それに時間がかかってしまった。タイミング的にはちょっと分が悪かったが、自分のスライディングの技術が勝った。」

逆に、上本は試合後「判定なので…」とうつむいてクラブハウスに引き揚げたと。

こういう場合、守備側としては、追うようなタッチではなく、ランナーに向かって倒れこんでいくような体を張ったタッチプレーが求められる。

その後、二死満塁の場面で能見のフォークがワンバウンドとなり、梅野がそれを後逸して鈴木が決勝のホームを踏むことになる。

記録はワイルドピッチで決して梅野を責めることのできないプレーだった。だが、そこまでミットより先に、まずフットワークで体を動かしてボールを前に落としていた梅野が、このときに限って、ミットから先に動いて体の動きが一歩遅れた。小さいがとても大きなミス。

掛布さん、「責めることのできない」と言いつつ、「とても大きなミス」とバッサリ。

でも、これがプロの世界。
これを糧に、梅野には奮起して一回り大きくなってほしいものだ。

入団以来本塁打ゼロ記録を続ける千葉ロッテ 岡田幸文

THE PAGEの7/7の記事『ロッテ岡田、入団以来本塁打ゼロの珍記録 まもなく達成』より。

記事によると7月7日時点で、入団以来通算1745打席本塁打がなく、現記録である東京セネタースの横沢七郎氏の1770打席まで残り25打席と迫っていると。

本塁打が打てなくても生き残っている選手はいくらでもいるわけで、それ自体はさほど珍しいことではない。

本人もこう語る。

僕は打球が飛びませんから、フライを上げてしまってはノーチャンスなんです。強い打球、ゴロを転がして塁に出て、野球やピッチャーにプレッシャーをかける。塁に出るということが自分に求められているものだと思っています

さもありなん。

あわやホームランという当たりがなかったのかという問いに対しては、

去年、西武ドームでありました。相手投手は確か牧田でした。でも前に守っていた野手が少し下がっただけで、フェン直にもならなかったです。ホームランの感触というものが僕にはわからないわけですが、『これじゃないか』という手ごたえがあった打球だったんですけどね

ホームランの感触というものが僕にはわからない」と言い切るあたりに、むしろ清々しさを感じるコメントである。

当然ながら、ホームラン以外の事へのこだわりは強い。

使っているバットは2010-11年と今では違うらしい。

2010年、2011年は、960グラムの“つちのこバット”で、グリップをひと握り半も余して「ポイントを体に近づけ、詰まってもいいから、体を使って振り切る。外野の前に落ちればいい」というバッティングを心がけてきた。だが、現在はバットを900グラムの少しグリップの細いものに替え、芯で捉えた際、外野の間を抜けるほどの長打力を求めている

盗塁について。

牽制の癖は見ない方です。盗塁も感性と勇気。スタートは早くないので中間スピードとスライディングでカバーしていいます」と言う。「ここで滑る!」というタイミングをひと呼吸我慢してベースの近くで滑るのがミソ。怪我の危険性は高いがベース際のスピードが増すのだ。

そして、守備について。

一歩目とスタートを意識しています。ピッチャーの球種、球質、調子、バッターのタイミングの取り方と、その日の調子などを見ながら、打つ前には、もう動いているという感覚を持っています。データは見ません。感性です。それは練習の中から数多く打球を受けて磨きます。裏をかかれることもありますが、それでもグラブに収まってくれるような守備をしなければならないし、10回に一度の、その確率を減らしていかねばなりません。ゲーム展開によっては、『いける!』と確信したら勝負しにいきます

盗塁も守備も感性重視なのだ。

厳しい状況にある千葉ロッテだが、岡田選手がチームの雰囲気を変える働きをしてくれることを願ってやまない。

権藤博が語る大谷翔平と投球時の体の使い方

本日の日経朝刊スポーツ欄のコラムより。

才能が一気に開花しそうな大谷翔平について。
権藤氏は大谷のイニング間のキャッチボールの様子に目を引かれたという。

ふわー、ふわーっつと楽に投げている。一方、同期の阪神・藤浪晋太郎はベンチ前でビュンビュン投げる。投球はいかに力を抜くかだから、あんなところでしゃかりきになるようでは……と思っていたので、大谷の力の抜け具合が際立った。

マウンドでもキャッチボールの延長で、手投げに見え、球が指先から離れる瞬間は棒立ちにすら見えると。しかし、これは往年のエースである金田や稲尾と同じだと権藤は言う。
そう言われると、古い映像に映っている金やんや稲尾のフォームには力感が感じられなかった記憶がある。

ここから、投球時の体の使い方に話が及ぶ。
一般的に、野球では「手投げはダメ、体を使って投げろ」と言われるが、権藤に言わせると「常識」とされるフォームでは体を使うことと、球に力を伝えるということの目的と手段の関係がひっくり返っていると。

もちろん体全体を使うが、それは最終的に指先からボールに力を伝えるためだ。球を放る瞬間にはもう体の役割は終わって動きが止まり、腕と指先に乗せられた力で球が行く。

指先を走らそうと思えば一瞬体は棒立ち、手投げになる。もちろん盤石の下半身があってのことだ。

大谷も、昨年は全身を使おうとするフォームで体と腕が同時に出ていたから、球が速くてもタイミングが合わせられやすかった。しかし今年は違う。

権藤が言うに、大谷はメジャーに行ってもダルビッシュや田中将大と並びうる逸材。
そして、このコラムは以下の一文で結ばれている。

二刀流を続けるべきかどうかなど、もう考えるまでもない、といえるだろう。

2番打者論は面白い

Number Webの氏原英明氏による『2番は“ゲームを動かせる打順”。野球を変える「2番打者再考」論。』より。

まずは、西武の栗山巧。
2008年に、2番打者として最多安打のタイトルを獲得し西武の日本一の立役者の一人となったことは未だに印象に強く残っている。既に6年前ではあるが。

僕の前が片岡さん、中島さんとおかわりが後ろにいる打順で、そこに挟まれて2番をやれたのは大きかったです。最初は、苦しみながらヒットを打つことを考えていたんですけど、どうやってヒットを打つかと考えたときに、流れに沿った中でプレーした方がヒットになりやすいことがわかってきました。

たとえば、片岡さんはその当時50~60の盗塁がありました。単純に考えたら、相手のバッテリーはスチールを防ごうと思って、外のまっすぐが多くなる。またゲッツーを狙いに来た時は、外のシュート系が多くなる。そして、後ろに中島さんとおかわりがいるから、僕には四球なんか出せないんですよね。つまり、ストライクゾーンで勝負してくる。

早めに追い込んでくるから、カウント球は、緩い球から入ると考えて打席に立っていました。

昔と違って、前の打者が出塁したら2番打者は必ず送りバントのような画一的なパターンはなくなってきた。
そして記事内でも、最近は良く聞く話ではあるが、守備側は送りバントを嫌がっていないという話に。

2013年、序盤戦を主に2番で起用された千葉ロッテの角中勝也は、打者心理と野手心理の両面があると語っている。

1番が先頭で出塁するとチャンスですけど、さらにそこで2番がヒットを打てば、一、三塁になって得点チャンスを広げられる。自分的には、簡単にバントをするよりも、そっちの方が相手としては嫌なんかなというのは感じました。

バントするのがダメってことじゃないんですけど、2番がヒットでつなげば、チームは盛り上がると思いますし、クリーンアップがきっちり返してくれると、1点じゃなく、2、3点入ってくるチャンスがある。守っているときも感じたのですが、先頭が出塁して、2番が打ってくる方が守りにくいと思います

セパのキャッチャーも以下のように語る。

黒羽根利規(DeNA)

展開によりますけど、序盤はバントをしてくれる方が楽です

炭谷銀仁朗(西武)

送りバントか強攻か、どっちがいいかというより、送りバントはさせた方がいいと思います。警戒しすぎて、ボールが先行する方がもったいない

投手はどう感じているのか。
中日の大野雄大こう言う。

序盤、特に初回であれば、投手は最初のアウトがほしいというのもありますから、ノーアウトでランナーが出て、打ってこられる方が嫌ですね。『ランナー二塁』は得点圏ですけど、走者が還ってくる確率というのはそれほど高くないし、得点圏打率で5割を打つ選手はそう多くないですよね。そういうことを考えると、序盤の送りバントは助かります。特に僕のようなタイプは、序盤は手さぐりで投げているところがありますから、初回だったら、ワンアウトでホっとできる部分があります

この発言からは実感が伝わってくる。立ち上がりが不安定な投手は多いだろうから、そこで労せずしてワンアウトとれるのは楽なのだろう。

栗山巧はこうも語っている。

フリーで打つという権限を与えてもらえればの話ですけど、初球から打ってもいいし、待ってもいいという役割をもらえたら、2番はゲームを動かすことができる打順やから、面白いと思います

この記事自体は当初期待したほど2番打者論に踏み込んでおらず、バント論に重きを置いてしまっているので残念だが、2番打者という存在が面白いことに変わりはない。赤坂英一氏の「2番打者論」をやはり読まねばいかんと痛感。