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高代延博コーチの走塁論

Number Webの『なぜ、走塁はすぐ疎かになるのか。阪神とヤクルトにある“差”とは?』という記事の中に、興味深い内容があったのでメモ。

 
4/1の阪神-ヤクルト戦で、阪神の走塁が素晴らしかったという話をすると、阪神の三塁ベースコーチの高代氏はこう語っている。

4月1日のヤクルト戦でウチの走塁が良かったから安心かっていうと、走塁はそういうものじゃないんです。走塁は、一度上手くいっても、黙っていたら次もできるかというと、そういう“科目”じゃない。すぐに疎かになる。だから、意識づけを常にやらないといけないんです。個人じゃなくてチームとして、向上心を含めて意識を持たないとだめ。試合ではそうは打てないから、(走塁は)勝つための要因になるんです

すぐに疎かになるのが走塁。。。
反射的なものじゃなく、意識に訴えかけ続けないといけないということ。
だからこそ、長きにわたって走塁力が高いチームを作り続けにくいのだろう。

 
高代氏のコーチとしての有能さについては「日本一の三塁コーチと呼ばれる 高代延博」も読んでみて欲しい。

68歳にしてプロの打撃投手を務める池田重喜氏

現代ビジネスの『68歳、職業「ロッテ打撃投手」裏方の生き様を語る 来る日も来る日も、ただ白球を投げ続けてきた』より。

1968(昭和43)年にドラフト4位で大洋に入団した池田重喜(いけだしげき)氏。
同じ年にプロ入りした選手は、元巨人の高田繁や元ロッテの村田兆治など。
68歳にしていまだに打撃投手を務めており、もちろん日本球界最年長である。

 
野村克也、張本勲、落合博満、そして現役では井口資仁と多くの名選手にも投げてきている。
その中で、名選手に共通するものとして以下をあげる。

プロで通算2000本以上の安打を打った彼らに共通するのは、打撃練習で打ち損じがないこと。10本中、1本あるかないか。どんなボールにも対応できる「間」を持っている。高校を出たばかりの子は、体の反動で打とうとして、タイミングを少し外されるだけで対応できなくなる。投手の作る「間」に引きずられるんです。レギュラーで何年も出続けて、揺るぎない自分の「間」を持つ域に達するのです。

 
特に落合に対しては思い入れもひとしおのよう。

強烈なプロ魂を持っていた。’85年に2度目の三冠王に輝き、翌’86年のキャンプで、落合は一度もフリー打撃をしなかった。新聞にも批判的に書かれました。落合は当時、トレーニングコーチだった私と走りながら、こう漏らしたことがあります。
 
「オレ、色々書かれているけど、本当に(練習を)やってないのかな」
 
落合は守備に時間を割いて下半身を鍛え、投手が投げるブルペンの打席に立って、目を慣らした。まだ調整段階の時期に、巨人とのオープン戦があり、球団側の強い意向で出場はしましたが、一度もバットを振らずにベンチに戻ってきた。
 
フリー打撃をしない本当の理由を当時の稲尾和久監督だけは本人から聞いていた。素振りでフォームを固めたいのだな、と察知した私は「別に何も心配することはないよ」とオレ流を支持した。結局、落合はその年、3度目の三冠王に輝きました。超一流は、自己が確立されていると痛感しました。

落合のキャンプ論については、ちょうどつい先日「落合博満のキャンプ&オープン戦論」でも話題に上がっていたが、それと共通する内容である。

DeNA久保康友のクイックモーションの速さ

本日の日経朝刊、篠山正幸氏のコラムにて、西鉄の稲尾や巨人の別所は、適度に打たれるが、ランナーが出るとスイッチが入って抑えると。そのハラハラドキドキ感がたまらなくて、エースたるもの適度に打たれなさいという自論を展開していた。

そっちのほうが確かにハラハラはするが、果たしてエースがそうあるべきかというと……その判断は個人に任せるとして、そのコラムの中で、DeNA久保康友のクイックモーションが凄いと絶賛されていたのが気に留まった。

あまり記憶がなかったが、Youtubeで調べてみたら確かに速い!

篠山氏によると

挙動から捕手のミットに球が収まるまで1秒を切る。1.2秒ほどで上等でいわれているから驚異的

直球の球速は普通に投げるより相当遅くなる。ところが、あれだけピュっと球が出てくると打者もタイミングがとれない

とのこと。

今後ぜひとも注目して見てみたい。

黒田博樹の凄さはどこにあるのか

今現在、その動向に一番注目が集まっているプロ野球選手といって過言ではない黒田投手。

今朝の日経の篠山正幸氏のコラムも黒田について書かれていた。
篠山氏曰く、黒田の投球のすごさは、どこがすごいかわからないところにあるのではないかと。

変化球の切れの良し悪しをどこで判別しているのか尋ねたときのこと。「捕手のミットが大きく動かないこと」という答えが返ってきた。シュート系の球でもスライダーでも、ミットが大きく動くときは曲がりが早くなっている。これは打者も判別しやすい

先日、マー君が取材陣への答えで使用したことで一気に知名度が上がった変化球「フロントドア」も、まさにこれがあてはまる球種だろう。
メジャーでは、打者の外角ストライクゾーンを外れたコースからストライクゾーンに入ってくる球を「バックドア」と呼び、打者の内角を外れた体に近いコースからストライクゾーンに入っていく球を「フロントドア」という。

それ以外の黒田の凄さを探るべくベースボールチャンネルの記事をチェックしてみると、『カープ復帰の黒田博樹、先発能力の高さを示したMLBでの7年間』という豊浦彰太郎氏のコラムにヒントがまずあった。

彼の真髄は安定感にあった。投手が受難の時代にあって、それ以外の何物でもない。2008年に渡米して以降の7年間で、6度も先発を31試合以上をこなしている。過去5年間は平均すると先発32試合だったが、他には11人しかいない。

まず、第一に安定感。
そこがメジャーの中でも高いレベルにある。

黒田は35歳以降に1000イニング以上投げているが、1940年以降の飛ぶボールの時代において、これを成し遂げたのは46人しかいない。

そして、年齢を重ねても衰えないタフさ。

タフさについては同じくベースボールチャンネルでの広尾晃氏のコラム『3つのデータから考える、黒田博樹の2015年』でもデータが掲載されている。

NPBではシーズン3000球以上投げる投手はほんの一握りだ。MLBでは3000球投げて一人前の先発投手だ。黒田は3年目以降ローテーションを守りながら、5年連続で3000球以上投げ続けた。

1試合の投球数ではなく、年間の投球数が多くてこそ、チームに信頼されるタフさの現われだろう。

そして、代名詞である制球力の良さについても忘れてはいけない。
メジャー全体の四球率(与四球数÷対戦打席数)の平均が8%台であるのに対し、黒田の四球率は6%を上回ったことはない。

 
さらに、上であげた広尾晃氏のコラムで被打率について触れられていた。
例えば、ダルビッシュや、全盛期の松坂の被打率は.210前後だったのに対し、黒田の被打率はリーグ平均をわずかに上回る程度の.250前後で、要はそれなりに打たれているのである。

以上のデータから見えてくるのが、「ランナーをヒットで出しながらも、四球で試合を壊すことはなく、粘り強く、微妙な変化で打者を討ちとっていく、それも年間を通して」という黒田の姿である。

落合博満のキャンプ&オープン戦論

キャンプシーズンも終盤を迎えようとしているが、興味深い記事を見つけたのでメモ。

ベースボール・ジャーナリスト横尾弘一氏によるベースボールチャンネル上でのコラム『”打席でバットを振らなかった理由” 落合GM流オープン戦の考え【横尾弘一「野球のミカタ」】』より。

中日監督時代の落合の言葉。

シーズンオフに描いた青写真をキャンプで修正すれば、監督の仕事は8割方終わったも同然

横尾氏によると

開幕から一軍入りする投手陣の人数や顔ぶれも(キャンプイン前には)固まっているのだという。それを確認するのがキャンプであり、故障者や著しくパフォーマンスを落とす選手が出れば、オープン戦の間に手を打つ

とのこと。

一方、対戦相手の戦力、特に新戦力に関してはオープン戦で分析すると。
もちろん球団は総力をあげて敵チームの情報を収集するが、落合自身はそのデータや数字を参考にしても、先入観は持たない。

例えば投手の場合なら、キャンプ地の沖縄や九州でのオープン戦で好投を続けたと言っても、ペナントレースになればその球場のマウンドでは投げない。では、ストレートの質はどうか、変化球はどんなのを投げるのかと見ていっても、マウンドのほかに気温や湿度、風向きなどもシーズン中とは違うでしょう。だから、どういうフォームから投げるのか、どんな体の使い方をするのかを参考程度に見るだけ。メディアやファンはオープン戦の結果で期待を膨らませるけれど、こちらは自分のチームの新戦力に期待もしなければ、他チームで頭角を現してきた選手を警戒もしない。さぁ、開幕してからどうなりますか、という感じだね

とはいえ、監督にも選手にも、オープン戦の間に取り組むべき共通点はある。それが、野球に対する感覚を研ぎ澄ませておくこと。

プロ野球選手は、約半年間という長いシーズンを戦うのが仕事。だから、一年ごとに経験を積めば、技術やコンディションの面では、いつ何をすればいいかという知恵はついてくる。開幕の頃はこういう体調で、こんなプレーができればいいと頭と体がわかっているから、そこまでにもっていく方法を理解していれば心配ないでしょう。ただ、一年経つごとに知恵は増えるんだけど、年も取っていくから変化するものがある。35歳の自分と36歳の自分には、どこかに必ず変化した点があるんだ。それをどう自覚し、何らかの対処が必要ならば、開幕までに済ませておかなければいけない。そうしたことに早く気づく感性というのかな、自分自身の変化に対する感覚を研ぎ澄まさなければならないでしょう

現役時代の落合は、オープン戦の段階になっても、まだ目が慣れないうちに変化球まで打とうとすると技術を壊すと考え、若手投手が必死に変化球を投げ込むと、ピクリとも動かずに見送り三振することもあった。そうやってデリケートにコンディションや技術を考えながら、「変化球に目が慣れるのが遅くなった」とか「前年とオフの取り組みを変えたら腰の状態がよくなった」などと、自分自身の僅かな変化を確認

していたという。

キャンプ期間の過ごし方がすべてというわけではないのだろうが、一流の成績を残す人は自ずとキャンプ期間中の過ごし方も工夫しているもの。

権藤博と森繁和が語る投手論

ちょっと昔(2013年)の記事だが、Number Webに掲載されていた『<プロフェッショナル対談> 権藤博×森繁和 「修羅場を制する投手論」』より。

まずは権藤さんによる仰木さんおよび高木守道監督評。

仰木さんはあれこれやりたがるんだよね。セカンドやショート出身の監督は、すぐにチョロチョロ動きたがる

2012年のCSで高木守道監督がピッチャーをどんどん変えた時の、ブルペンにいるコーチの野茂との会話。

「おい、(ベンチ入りの)13人じゃ足りんぞ。15人くらい入れんと」と言ったんだ。そしたらあいつは「そんなに入れるから代えられるんですよ。10人にしたらいいですよ」だって。メジャーは投手10人でやってるからね。「監督に電話して、直に言ってやれ」って、大笑いしたんだけど

 
権藤も森も、日本シリーズの第1戦はエースに投げさせるという。
権藤氏曰く、

日本シリーズに出るのはご褒美じゃないですか。1年間戦ってきた人への。前年度に一番いい成績を残したやつを開幕投手にするのと同じで、一番大事な第1戦はエースに任せるのが当たり前だと思う。

98年の日本シリーズについて。

98年の横浜のときは、そういう絶対的なエースがいなかった。だから、戦う前から、野村(弘樹)、斎藤(隆)、三浦(大輔)の3人をこの順番で回すと決めてたんですよ。この3人で、中3日で勝負をかける。これしかなかった。7戦まで行ったら、野村が回ってくるという。

そして、3勝2敗で王手をかけて、本来なら三浦が投げるところだが…

使ったのが川村(丈夫)です。川村は開幕からずーっと勝ってたけど、後半戦まったく勝てなかった。だけど、三浦もよくなかったし、日本シリーズに出られたのはこの川村のおかげだから、1回ご褒美に放らせてやろうと。そしたら勝って日本一になっちゃった

勝負師というより、人間的な権藤さんらしいエピソード。
偶然ながら前回の投稿でも権藤さんが川村について語っていた。何か二人には縁でもあるのだろうか。

 
最後に、落合監督について。

(権藤) 評論家やってるときに見てて、あんたがいい味出してるなと思って落合に聞いたら、「いやあ、僕は投手のことはわからないから、全部任せてます」と言ってました。俺は、やっぱり落合はすごいと思う。もしかすると「投手のことはわからん」と言いながら、少しは言ってるかと憶測してたんだけど。
 
(森)  監督が先発を決めたのは、川崎憲次郎のシーズン開幕投手(’04年)の時だけです。それ以外は、試合当日、先発投手をメンバー表に書き入れる時に、「えっ、そうだっけ?」「これでいくの?」とかそんな感じでした。
 
リリーフが失敗した時なんかに、監督室に行って「すいません。ちょっと交代、遅れましたかね」と聞くと、「俺が全部責任取るから、そんなもん気にせんでええ」と。「選手にも言っとけ。今日はたまたま打たれたけど、また同じように使うから。でも、3度までだぞ」って。

まったく口を出さないというのは驚き。
そして、自分で決めたのが、当時大きな話題になった川崎だけというのも渋い。

なお、この3度までルールは権藤さんも使っていたものだという。

山本昌と川村丈夫の共通点

12/11の日経本紙上での権藤さんのコラムより。

プロの打者は投球を見て打っているわけではない。球を見ていては間に合わないから、相手の腕の振りを見てタイミングを計っている。
 
ところが投手によって腕の振りと実際の球の速度にずれがあり、そこに錯覚が生じる。山本昌や川村の場合、腕の振りのイメージより、球が早く来て打者が振り遅れる。

山本昌はこの話題で、ほうぼうで取り上げられるので驚きはないが、元横浜の川村丈夫もそのタイプだとは知らなかった。

140キロに達しない直球が、ベンチからも150キロくらいに見えた

とのこと。

さらに、権藤氏は評論家のいいかげんな解説がその錯覚効果を倍加させると説く。

「うまく内外角に散らしてますねえ。さすがベテラン」とみんな山本昌を褒める。だが実は制球はそこそこで、錯覚による速さを利用した速球派だ。印象だけで技巧派と決めつけるものだから、ますます打者もだまされる。

ふと、川村が今どうしているのか気になって調べたら、2008年に引退、2014年はDeNAの1軍投手コーチを務めていた。Wikipediaには

ゆったりとしたフォームから繰り出される切れの良い直球とフォークボール・チェンジアップが持ち味。球持ちが非常によく、140キロ前後の直球でも打者はタイミングを狂わされ、打つのに苦労させられることが多かった。

と、権藤さんの説明の通りだった。

イチローの変化と残してきた言葉

日経電子版上で、鉄村和之氏と丹羽政善氏のセミナー(?!)の様子が記事となっていた。
イチローの打撃変化 持ち味のゴロ増すも三振率高く

2014年のイチローは、打率こそ.284と、初めて3割を下回った2011年以降ではもっとも良い数字を残したものの、ヤンキースの起用方法もあり、打席数は385にとどまる結果となった。

丹羽氏はイチローのゴロ率に着目。

イチローはその数字が高いほど、打撃成績もよい傾向がある

262安打のメジャー最多安打記録を作った04年は全打球のうち63.7%がゴロだった

本人も「ゴロを打つことで確率が増す。可能性を生む」と話している。ゴロを打てば内野安打になるかもしれないし、相手が失策することもある

打率をかなり落とした昨年と一昨年を見ると、52.3%と50.9%でイチローにしてはその数字が低かった。しかし、今年は57.9%で比較的高かった

それなのに、なぜ今年の成績が芳しくなかったというと

三振の多さが問題だったと思う。メジャーに渡った01年は7.2%しか三振していなかったが、今年は17.7%。細かく分析すると、空振り三振が増えている

代打や代走、守備固めでの出場だったりと、これまでのシーズンと単純に比べることはできないのかもしれないが、三振の率が2倍以上になっているというのは驚き。
ちなみに、2013年の三振率は11.4%。数字上ではこの1年での変化が大きい。

丹羽氏はボール球を振った時のバットに当てる率についても触れている。

これまではストライクではなく、ボール球を振りにいっても、バットに当ててファウルで逃げていた。ボール球を振ったときにバットに当てる確率は08年が82.8%だったのに、今年は73.1%

また、コース別の打率を見ると、2009年は、高めの3つのゾーンを除いて米国でいうコールドゾーン(打率1割台以下の青いゾーン)がほとんどなかったのに対し、2014年は内角低めは.455打っているものの、ほかの内角球はほとんど打てていない。特に、ボール球の内角の数字は非常に低かった。

これをもって、丹羽氏は以下のように結論づけている。

以前に比べ、今年は打てないゾーン、弱いゾーンがはっきりしていた

 

続いて、長らく取材をしてきた中で、特に印象に残ったイチローの言葉が話題に。

2008年、3000本安打を放った時に、その原動力は何かと問われて

僕が何かを自分のために生かすことというのは、人のことを見て、学ぶことが多いんですよね。自分の中から何かを生み出していくことっていうのは、あんまりない。人の行動を見ていると、すごく気になることがたくさん見えてきて、それを自分に生かすというやりかたで、まあ、ずっと、すごく嫌らしいやり方ですけど、そうやって、今の自分があるような気がするんですよ

丹羽氏がこの発言は「衝撃的」だったと評しているが、確かにそれまでのイチローの発言からは想像できない内容ではある。

もう一つ。2013年に日米通算4000安打をマークした時の言葉。

ヒットを打ってきた数というよりも、こういう記録、2000とか3000とかあったんですけど、こういうときに思うのは、別にいい結果を生んできたことを誇れる自分では別にないんですよね。誇れることがあるとすると、4000のヒットを打つには、僕の数字でいうと、8000回以上は悔しい思いをしてきているんですよね。それと常に、自分なりに向き合ってきたことの事実はあるので、誇れるとしたら、そこじゃないかと思いますね

心の持ち方の問題なんだろうが、元広島の前田智徳も、放ったヒットに喜ばず凡打の反省ばかりしていたと聞くように、トップクラスの選手たちは、だめだった結果と真摯に向かい合っていることがわかる言葉である。

落合博満のソープ伝説の真相やいかに

落合がソープ好きだったのは有名な話。

コラムニスト/プロインタビュアーの吉田豪氏との対談(2002年3月)で愛甲猛も以下のように語っている。

堀ノ内が近いんで試合終わったら必ず行ってたんですよ。いつも行くお寿司屋さんがあって、そこでご飯食べてたらソープの送迎車が来るわけですよ。それに乗って店の裏口から入って行くんですけど。オチさんが言うには「銀座行ってオネエちゃん口説くんだったら何十万も何百万も払わなきゃいけない。だったらソープ行って4~5万払えば、裸のネエちゃんを前にしてタダで酒飲めんだぞ。こんなイイことねえだろ!」って。

要は駆け引きがあまり好きじゃないということなのだろうか。
いずれにしても、試合終わったら”必ず”行っていたというのが凄い。
仮に本拠地の全試合後に行っていたとして、最大65試合×5万円として325万円也。
落合にとって、このぐらいの金額ははした金だろう。
それ以上に体力と精力が続くのが羨ましい限り。

 
同じく、愛甲の著作『球界の野良犬』から。

家に帰ってカミさんとテレビ見てたんだよ。そしたら「トゥナイト」が始まってな、山本晋也監督がソープ取材してたんだよ。画面に映った子、見たことあるな、なんて思ったら、「落合さーん、また来てね」なんて手を振りやがった。続けて山本監督が「さすが落合さん、夜も三冠王ですな」だってさ。チャンネル回し損ねたよ。

ネット上の噂話にとどまらず、本にまでされてしまう大物っぷり。

 
また、2ch等で広まっている都市伝説が以下。

かつて、名前は出せないが堀之内のソープを全軒制覇するほどソープ好きだったロッテの選手がいた。その選手は新婚だったにも関わらずソープ通いを辞めず、業を煮やした新妻はある日、家に帰ってきたその選手に向かい「大事な話があるので、服を脱いで風呂場に来てほしい」と言った。件の選手が裸になって風呂場に向かうと、そこにはスケベ椅子とマット、それに泡姫ルックの新妻が。
この新妻、亭主のソープ通いを辞めさせるには「家でサービスするしかない」と自らソープに赴き道具と技術を修得してきたというのだ。これに懲りた件の選手、ソープ通いはピタリと止まり、翌年には長男の福嗣くんも誕生した。

ちょっと盛っている気はするな~と思っていたら、なんと落合信子氏の著作『悪妻だから夫はのびる』にまさにそれに関する記述があった。。

 
まず、落合がソープランドに行っていることを引き合いに出して、私が浮気したらどうする?と聞いたところ、「ソープランドが浮気かよ。性処理ならいいじゃねえか」と落合が答えた。
それを受けて信子夫人は、落合がそこまで開き直って言うからには、ソープランドというのは、さぞやおもしろいところだろうと思い、それをわが家でやってみようと思い立ったと。

そして、落合が買ってきた男性週刊誌や落合の話を元にソープ嬢の技術を習得。そのうえで、「ソープランドごっこしてあげるからお客さんになりなさい」と言ったそう。これを機に、落合のソープランド通いはピッタリおさまったという。

どうやら、都市伝説と現実に大差はなさそう。
これを機に、落合のソープランド通いがおさまったというのはどうも解せないが、我々の想像の上を行く夫婦だから、さもありなん。

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蛇足だが、吉田豪氏の愛甲へのインタビューの中でもう一つ面白かったのが村田兆治についてのエピソード。
村田はロッテの大エースとして活躍していたが、実は目が悪くて、キャッチャーのサインが見えなかったという。

でも兆治さんの時って、キャッチャーはノーサインで捕ってたんですよ。それで一度、兆治さんがすごくデカいホームランを打たれたときに、キャッチャーの袴田(英利)さんを呼び付けて『なんでお前、あそこで真っ直ぐのサイン出したんだ!』って、グローブをブン投げて怒ったんですよ。そしたら袴田さんが『ノーサインだろ、バカヤロー』って、レガース外しながらボヤいてて。

なお、ピッチャーはそれぐらい自己中心で構わないというのが、愛甲の持論のようだ。

里崎智也のキャッチャー論

引退が惜しまれる千葉ロッテの里崎智也選手。

THE PAGE に興味深いインタビュー記事(『引退・ロッテ里崎が野村克也氏、古田敦也氏より優れていた知られざる記録』)が掲載されていたので紹介。

THE PAGE の記事タイトルにもある里崎が持つ記録とは、1000試合以上出場している捕手の中で、捕逸、すなわちパスボールの通算記録が最も少ないというもの。

野村が2921試合で207個(14.1試合に1個の割合)、古田が1959試合で104個(18.8試合に1個)であったのに対し、里崎は、1003試合の守備出場で19個(52.7試合に1個)でナンバーワンの記録だとのこと。
ちなみにナンバーツーの記録保持者は森祇晶氏で1833試合で42個(43.6試合に1個)。
ただそもそも、割合ではなく、通算の数を比べるのはフェアじゃないだろう。
もちろん率でみても里崎がパスボールが少ないことは上の3名と比べればよくわかるが。

 
里崎曰く、

パスボールはノーバウンドのボールをミスしたときに記録されるもので、ワンバウンドを逸らしたボールは、ほとんどの場合、ピッチャーのワイルドピッチと記録されるんです。自分でサインを出しているんだから捕球するのは当たり前

ノーバウンドのボールとはいえ、フォークやスライダーなどの鋭い縦変化の変化球が多いピッチャーの場合、パスボールかワイルドピッチかの判断が難しい厳しいボールは多くなるだろうから、キャッチャーの補球能力に加え主力ピッチャーがどういうタイプかにも大きく影響されそうではある。

里崎が正捕手を務め千葉ロッテが優勝した95年や、翌96年には高速フォークを操る伊良部もバリバリ活躍していたから、この数字はたいしたものではないのだろうか。

里崎が言うに最初からパスボールが少なかったわけではないと。

ワンバウンドを処理するには何が大事で、どうすればいいかを教えてもらったことがなかったので、理論がなかったんです。単に勘だけでやっていたんです。ということは、止められるか、止められないかは運任せだったんですよ。理論がわかっていると失敗した後に何が悪かったかがわかってくる。それを教えてくれたのが、当時のコーチの山中潔さん。

この、山中コーチからの指導については、スポーツライターの赤坂英一氏の著作『キャッチャーという人生』の中でも触れられていた。

 

山中さんは、近くから、ボールをアホみたいに何箱も投げ続けて、後ろに逸らさないというような形を作る練習はやりませんでした。ブロッキングの形を作る基本的な練習はしますが、とにかくブルペンに入って、生きたピッチャーの球を実戦で受けろ!と。1球、1球集中して、どんな球が来ても絶対に止めろ!と。当時、二軍にはブルペンキャッチャーがいなかったので、バッティング以外の時間は、ブルペンで受けていました。だから必死でした。練習のための練習になると、その部分が欠けるでしょう。そこでミスをしたら形をチェックするんです。今はファームにもブルペンキャッチャーがいて、“キャッチャーが生きたボールを受けない”という環境になっていて、そこは僕からすればもったいないですね

「練習のための練習になると、その部分が欠ける」というのはごもっとも。
キャッチング練習のための練習だと時間は短くて済むが、実践的な技量は上がりにくそう。

パスボールを減らすコツを聞かれ

僕は、捕れるものは捕ったほうがいいという考え。ワンバウンドは必ず体のどこかに当てて止めろと教える人もいますが、体のどこかに当てると、どこかへ飛んでいく確率が高まります。ミットは、もちろん股の下。胸から上のワンバウンドは体で止めるしかないんですが、ベルトから下の低いものは『捕っちゃえ』と。そうするとボールを弾きません

と答えている。
しかし、そもそも捕れるなら問題にならないのではなかろうか。
自分がキャッチャーではないからか、ピンと来なかった。

 
話はリード面に及ぶ。
WBCの時に、宮本慎也氏に『お前のリードは怖い』と言われるほど、強気だったという。

僕はデータよりも自分の直感を信じる、行けると思えば行く! そういうリードでした。引いて後悔はしたくはありません。もちろん、データ、資料は見ます。家の建築でいえば、いわば基礎工事です。そこに経験と知識と感性で、どれだけ上を積み重ねることができるか。データだけでリードすれば、崩れたときに対応ができなくなります。後は駆け引きです。

1軍のスタメンに名を連ねるプロは短所と言っても意識すれば打てるんです。でも意識をしないと打てないから、そこを意識すぎると反応で打てるはずの長所も消えてしまうんです。それが駆け引き。では、どのタイミングで、どこをどう攻めるか。そこが感性と経験なんです

この記事を読んでいても、里崎が乗ってきたのが伝わってくる。

 

リードには3パターンあると考えていました。(上)(中)(下)の3パターンです。
 
(下)は、相手や状況に関係なく、ピッチャーだけを中心にリードするパターン。ピッチャーの得意球、その日のいい球を引き出していくリードです。ピッチャーに制球力や信用のおけるボールがなく、そこにしか投げられないというレベルのピッチャーの場合のリードです。これをクリアできるレベルのピッチャーになってくると、次の(中)のリードになります。バッターの長所、短所を踏まえた駆け引きのできるリードになってきます。それもクリアできれば、次に(上)です。それは、短所、長所を考えた配球にプラスして状況に応じた結果を求めるリードです。ここは三振をとりたい、ここは絶対にゴロ、ここはフライという計算を立てたリードですね。ただピッチャーの力量が(下)であっても、できないのがわかっていて(中)のリードで勝負する場合はあります。信じてレベルをあえて上げる場合もあります

 
続いて、打席内の打者の観察について。

何百回と同じ打者と対戦するわけですよね。すると、いつも決まった場所にいるのがわかってきます。でも、時折、そのシャドーからはみだすケースがあるんです。おい左肩が出ているぞ、どういうことや、足の踏み出す位置が違う? どういうことや?と。それを解釈しながら狙いや理由を読むんです。

そうやってシャドーを見ていくと、面白い選手、何を考えているかわからんわあという打者とも巡り合います。西武から中日でプレーしている和田さん、日本ハム、巨人、今は、中日にいるガッツさん(小笠原)、稲葉さん、内川、糸井、西武からメジャーに行ったナカジ(中島)も面白かった。和田さんには、徹底して外中心のリードをしていて、たまたま1球だけいったインコースを打たれたことがあります。内川なんて、そこまで崩れながら、なんで打てるの? 意識どこにあんねん?と思う打席もありました。

結局、安定して数字を残しているバッターには苦労するってことのようにも思える。
つまり、どのチームも基本的には似たようなことを日夜研究しているのだろう。

こちらの赤坂氏と糸井さんの対談の記事でも書いたが、糸井さんが言っている「キャッチャーというのは、「ことばの人生」なのかもしれないですね」というのは、この里崎のインタビュー記事を読んでもあらためて実感した。

キャッチャーは面白い。